セイブ・ザ・エンペラー

その少女は制服姿のまま、ベッドを覗き込んでいた。ベッドの中には赤ちゃん。彼女の弟だろうか? その細く白い人差し指を伸ばして赤ちゃんに握らせている。あは。
やさしく微笑みかけていた彼女が、急に険しい顔になるや、つぎの瞬間、宙を反転していた。今の今まで彼女がいた場所を弾丸がかすめ、壁をえぐる。
少女は片手をベッドの端につき、さらに半身を翻す。
「おじいさま! おかりしますっ」
さきほどまでベビーベッドの枕元にあった守り刀が、彼女の手に握られていた。制服をふわりとさせ、音もなく着地する。少女は赤錦の布につつまれたままの刀を目の高さに構えた。
部屋の入り口に立つ黒ずくめの二つの影。その手にはサイレンサー付きの拳銃が構えられている。
「あら? お二人でいらしたの? もう、ナメないでくださる? 武芸百般に通じてこその宮家なのよ?」
少女の話が終わるやいなや、男ふたりが襲いかかった。少女は退くでもなく、むしろその間をつめるように身を沈め、男らの懐に消える。
ゴ、ガッ。鈍い音とともに男たちがくずおれた。その眉間には柄尻の打撃跡が深ぶかと刻まれていた。
「私に刀を抜かせたいなら、エイブラムスくらい持ってきなさいな」
少女は守り刀を枕元に戻し、ふたたびやさしいまなざしで赤ちゃんを目やった。
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少女イメージ画像:http://www.yuko2ch.net/mako/src/1106563913492.jpg



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というわけで、ファック文芸部杯もいよいよ大詰めです。ラストあと3日の間にどんなファックな文章がでてくるか見逃せませんぜの気持ちを込めて応援妄想エントリ。あと作者予想で私のお名前挙げていただいていて大変ありがたいのだが、しかし私が参加しているかどうかは神のみぞ知るのであった。キャミの味噌汁なのであった。