「復活の地」小川一水を読んだ (若干ネタバレあり)

ある惑星の帝都を大地震が襲い、その復興までを描く物語。面白かった。
地震災害・対処に対する小川一水の考え方がズレてるとか甘いだなんて批判されやすいようだけれども、そんなことを吹き飛ばすくらい素敵なのが、小川一水あいかわらずのプロフェッショナル節。登場人物がみんなプロ。どいつもこいつも誇りに満ちてる。熱い。熱すぎる。
そしてもう一つ。
この作品のSF要素の使い方が、おれの一番好きなタイプということ。
この作品は「災害と戦う」話と「災害と戦えると決意し、そして戦う」話の構造になっていて、まさにその後半の話を書くために、つまり、災害と戦えると決意した《人間》を描くためにSFという道具を控えめに使っている。
(科学的にはありえるけれども)現実にはありえない状況を設定して、そこで(読者と同じ現代人の思考パターンを持つ)人間がどう振舞うかを描く。その状況設定の道具としてSFを使う。
あくまで控えめなSFの使い方。


たとえば、君に好きな女の子がいたとして、ただ彼女は死んでも死なないソンビ病にかかっていたとき、君は彼女をどう愛するかを描く、みたいな? その状況を作るためにゾンビ病というSFギミックを使うというか。
そういう控えめギミックSFでおれが一番好きなのはゲイトウェイなのだけれども、それに匹敵する面白さでございました。復活の地。 


あと表紙に隠されたネタもちょっと好き。絵の中にその状況があからさまに描かれているのに、読み進めて初めて絵の意味あいに気づくというか。


復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)

復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)



ゲイトウエイ (ハヤカワ文庫SF)

ゲイトウエイ (ハヤカワ文庫SF)