「はい二人組み作って〜」という教師を恨んだぼくたちが行き着いた先に

あのころのぼくたちは、「はい二人組み作って〜」などと無神経なヒトコトをほざく教師どもを軽く脳内惨殺していたものだけれども、その怒りは自分がクラスレベルでハブられるからなどという矮小な理由からではなかった。
もっとこう地球レベルで怒っていたのだ。だってもし地球人口が奇数だったら絶対にハブられるヤツがでてきちゃうじゃん。そんなのって悲しすぎる。
だからぼくらは「はい二人組み作って〜」勢の殲滅に邁進していたし、それはある種聖戦の様相を帯びてすらいた。
「はい二人組み作って〜」勢を一人、また一人と抹消していったぼくらは、世界を正しい姿にするまであと一歩のところまできた。
そう。いまぼくらは最後の障壁、1最小奇数単位(1ドリカム)問題に直面したのだった。
にらみあうぼくら。みつめる彼女。
結局ぼくはまた二人組み側になることができず、残るふたりは二人組みになった。
ぼくはふたりをうらみ、世界をうらみ、宇宙をうらんだ。
が、神はふたりを祝福し彼女の体内に新たな命を宿らせたのだった。
そしてぼくは悟る。
この新たな命による数の均衡は世界に平和をもたらす。
ぼくはその新たな命と二人組みになれる。
そうしてぼくら人類は新たな概念を獲得した。
ロリコン》の発見である。




after day, case1
新たな命は彼と彼女の二つだった。世界は再び奇数になった。




after day, case2
新たな命は彼女ではなく彼だった。
「それはそれで」
ぼくは別の概念を発見することにした。