君が空を飛ぶための100の方法。

右足が地面につく前に左足をあげれば空を飛べるなんて言うけれども、あんなのもちろんウソである。だっておれ飛べなかった。
とはいえ、右足が地面につく前に左足をあげるというコンセプト自体は正しい。ただ足りないだけである。ようは腕の使い方なのだ。たとえばここに無限長のロープが天空より垂れ下がっているとする。それを右手、左手、右手、左手とつかみ、あわせて足をあげさげすれば、どうだろう? 簡単に空に上っていけることがわかる。
これで上昇する力は手に入れた。
だが方向が単方向のみだ。無限長のロープを用意することも現実的ではない。
この二点を解消するにはどうする?
ようはつかむための適度な長さのロープ状の物体があり、つかむたびに上昇/前方方向にその物体がのびていく、あるいは逃げていけばいいのである。
そう。あの生き物をつかうのだ。うなぎである。
君が空を飛ばんと欲すれば、まずうなぎを手に持ち右足を上げる。右足が地面につくまえに左足を上げるが、その補助としてうなぎを持つとき下にしていた手を伸ばし、うなぎの上部をつかむ。うなぎは逃げるようににゅるりとする。君はさらに腕を伸ばし、あわせて左足が落ちるまえに右足をあげる。
それを繰り返す。
ふわり。にゅるり。ふわり。にゅるり。
かくして君は空を飛ぶ。
ふりかえれば、町のそこかしこで町人たちが宙を舞う。
俗に言ううなぎのぼりである。