なぜ魔王は世界征服に失敗するのか、あるいは魔王のタイムスケールもんだい。

問題は、なぜ魔王は世界征服に失敗するのか、である。
ひらたく言うと急ぎすぎなのだ。
でもだって魔王といえば永遠の命がデフォである。10億年くらい地上を放置しておけば人類など勝手に死滅する。バクテリアだって生命には違いないのだ。生命を支配したいだけなら、いくらでも支配できる。さあじっくり待ちたまえ。
なのに待たない。でしゃばって勇者に殺される。キジも鳴かずば撃たれまいおにー。魔王とはほんに能無しである。
もう一つ、寿命ながいくせに生命活動のサイクルを人類にあわせすぎである。だから人類のやることを羨ましく感じてしまい、その妬みそねみや、あるいは個体同士の愛を理解できないなどという些細ないらだちから、性急に征服を推し進めようとしてしまうのだ。
じゃあ魔王さんに問うが、魚とナマコの見ている世界は同じか? 魚には魚のペース、ナマコにはナマコのペースってもんがある。魚の見る世界とナマコの見る世界は違うのだ。別々の世界で、同じ幸せを求めても不幸になるだけだ。人間と同じ認知スケールでモノ・コトを見るから人間の価値観に引きずられ、妬ましく思ってしまうのである。まずそれをやめよ。魔王は身の程を知るべきなのである。
というわけで、今後魔王になって世界を征服したいと願う諸君には以下の言葉を贈るのである。

征服は寝て待て
放置こそが勝利への近道ということだ。
人間と同じ時間軸に立たない
認知のタイムスケールを10万年周期くらいにしよう。