やなせたかしさんが人魚界に一石を投じる

人魚の胸元を覆うものといえば貝殻と相場が決まっているわけだけれども、やなせたかしさんはひと味違う。星型をしてる。そう、ヒトデである。
貝殻であればまあ所詮、貝の死骸。胸にへばりついてようがなんてことないじゃん、で済ませられるわけだがヒトデとなると事情が変わってくる。この状態だとヒトデの口がデリケートな部分に“吸い付く形”になってしまうのである。想像するだに痛い。絵にするのもおそろしいほどだ。
だがやなせさんは貝殻ではなくヒトデを選んだ。自らの想像力の痛みに耐えてヒトデを選んだのだ。これには、なにか意味があるのではないか?
そう考えたおれはやなせさんになりきってヒトデについて思いを巡らせたのだが、ううむ、ヒトデ、ヒトデ……。
! もしかしてヒトデは文字通りの意味、“人の手”という意味なんじゃ……。
……そうか、そういうことだったのかっ。やなせたかし