疑わしきはバッせずにも例外がある。

おれが小学生だったころテストの採点に納得がいかなくて抗議しにいったことがあるのですけど、先生は「疑わしきはバツせずというが、なにごとにも例外がある。それが漢字テストだ」と言っておれを一蹴してのけたのだった。たしかにあのときのおれは難しい漢字の横棒が一本か二本かわからなくて、小さな文字で書いてごまかそうとしていたものだからすごすごとクラスに戻ったのだけど、今考えると先生のくだんないダジャレにツッコむべきだった。「採点は納得できるが、そのダジャレはつまらない」と。
試合は負けでも勝負には勝つ。そのチャンスを、あのときのおれは逃したのだった。小4の冬だった。