クツノナルキ(shoe plant)

名称:クツノナルキ
学術名:tabernus sero
英語名:shoe plant
類:フクショク科クツノキ属
分布:ヨーロッパ全域、北米全域の広範囲に見ることができる。
大きさ:樹高15〜30m
特徴:ピスタチオのような硬皮を持つ種子は全長20cm〜30cmほどに育ち、真ん中から割るとちょうど現在のモカシンのような形状になる。硬皮内部はソラマメの外皮内面のようにふかふかとした綿毛でおおわれており、履き心地もよい。紀元前ローマ帝国の軍隊は、その機動力確保のためにこのクツノナルキを履いていた。ナポレオンもクツノナルキを愛用していたという。
1815年ドイツの植物学者マイヤーによると、クツノナルキは人間に機動力を与え、自らの種子を遠くまで運ばせそこで根を下ろし植生分布範囲を広げるのではないかという仮説を唱えた。マイヤーは100以上もの戦争とクツノナルキ植生分布の広がりを調査し、そこに驚くほどの一致が見られることを発表した。
マイヤーの弟子、マクスウェルは研究を進め「むしろクツノナルキが戦争を起こし、その版図を広げるのだ。ヒトとはクツの乗り物に過ぎない」と発表、物議をかもした。
マクスウェルは仮説を裏付ける資料の一つとして、赤い靴伝説を引きあいに出す。ヨーロッパ各地の赤い靴伝説はそのいずれもがハシバミ色のクツノナルキを履いていた女性のまわりで起きている。女性が歩きつかれ、あるいは死して後もクツノナルキは根を下ろす場所を求めて彷徨い歩く。根を下ろすころにはクツノナルキは宿主の血を吸って赤くなっているのである。