三つ穴のギロチン

ルイ16世は2万人の市民の首を切り落とした後、ゆっくりと口を開いた。
「この国でおれに逆らえるヤツなんざいやしねぇ。だろう?」
「その通りでございます、閣下」
「だが、まだ足りねぇ。まだまだ足りねぇんだよ。おまえらもっとおれを称えろよ。…そうだ、議員ギヨタン。おまえコンセプチュアルな首切り台作ってみろよ。おれの力を称えるようなヤツ」
「コンセプチュアルでございますか? …わかりました」



「出来上がったのがこれか?」
「はい閣下」
「首穴が三つ開いているだけに見えるぞ? どういう意味だ?」
「はい。この三つ穴断頭台は地獄の番犬ケルベロスを処刑するものにございます。閣下のお力は、地獄をも支配するであろうことを表しているのでございます」
「おおぅ。それおもしれーな。やるじゃねぇか、ギヨ。おまえ金一封な。んー、あとよ、この穴、なんで色分けしてあんだ?」
「これはそれぞれ自由、平等、博愛を表しております」
「うっわおまえ面白いわー。ギヨタンおまえ面白いよ。議員にしとくのもったいねぇわ。こんど呑みいくべ。いくべいくべ」