ホルターネックの存在の耐えられない危うさ

ホルターネックの魅力はひとことで言ってあの危うさにあるのだと思う。後ろ首でちょうちょ結びにした紐。トポロジーと摩擦力という、なんだか頼りないよりどころのみに成り立つ小さな小さな結び目。もしまかり間違って、その紐が解けてしまったなら。そうだ。ホルターネックの魅力は、いうなれば解けてしまったらどうしようという可能性の危うさにある。
そしてその魅力を支えるもうひとつの危うさ。それは、彼女の運命を、彼女の後ろに立つあなたが握ってしまっているという状況の危うさだ。目の前の結び目は、彼女の命運そのものだ。それを解いてしまえる力が、今のあなたにはある。あなたの右手に力がこもる。汗がにじむ。
あなたは彼の言葉を思い出す。
この紐を引けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめば紐はなし。迷わず引けよ。引けばわかるさ。
わかっちゃだめーー!!!