吐く息も白く

わざわざ狙って一緒のタイミングになろうとしてるわけじゃないんだけど、でもやっぱり今日もバッチリ出合う。場所は決まって同じ。改札を抜け、地上階へ出るエスカレータを降りたちょうどその場所。
首に巻いたマフラーを巻きなおし、両手を口元にもっていって吐く息で手を温めてる。先に気付くのはおれなんだけど、声をかけてくるのは決まって向こうで「今日は寒いね」なんていいながら、ついっとおれの横に並ぶ。背はちょうどおれの目の高さ。
真っ赤な両手を見て、あー確かに寒そうだなーなんて微笑ましく思う。でも一番寒がるところは手じゃないでしょ?そのハゲ頭でしょ?部長。