「Σじゃないの?」
「本を読むことは総和じゃない。連続した行為だよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「本は人なり。だって体っていう字は人偏に本ってかくからね」
「どんな理屈だよ」
「飯食わなくても、本読めばなんとかなる」
「いやいやいやいや」
「本棚が人格を表すように、積み上げた本の数だけが、自分が自分であることを保障してくれる気がする。積読本こそがおれなんだよ」
「……積み上げた本は……いつか崩壊する運命にある」
「R・田中一郎かっ」
「枕元に積みすぎだよ。地震来たら頭つぶされるよ?」
「……」
「何してんの?」
「いや、どうせつぶされるならお気に入りのハードカバーで」
じゃあ個人的にはコニー・ウィリスのハードカバーを積読山のてっぺんに……