ブロックくずし小説

というわけで先の記事で「行時一致」作品を書いて分かったのはオリジナルの壁(閉鎖された都市の歴史(g:neo:id:llpp))は圧倒的に高いということでした。ルールを思いつく才能には叶わない。おれもルールを考えたい。
そんで行時一致の楽しいところは、《作品の読み方・時間》を作者がコントロールできそうなところだと思うのですけど、じゃあ読者も作者も読み方のコントロールを放棄するブンガクがあってもいいじゃんと思った。
イメージ的には脱衣ブロックくずしのパクリで、ブロックの背景のエロ画像の代わりに、ブンガクが隠れているわけです。
そこでは作者の持つすべての読ませるテクニックが崩壊する危険があり、例えばブロック壁の背後に玉が流れて壁をくずしまくるとオチがバラされてしまったり、歯抜けでくずれていくと伏線も余韻もへったくれもなくなってしまったり、なんとか読み取れる飛び飛びの文章から物語を脳内補完するも、その物語はあまりにも拙いものになってしまう。読者の運と想像力にゲタを預けまくるブンガク。なんともリスキーな。てか、それ読んで面白いのか?
そうしておれは玉を打ち出し、彼の新作をくずし始める。いつもどおり期待せずに、くずし読んでいると一分ほどして驚愕する。くずした部分を順に読んでいるだけなのに、文章が破綻していない! おれがどの順番でブロックを崩すかわかっていたというのか? それとも、どう崩しても文章が成立する神のブンガクがこの壁の向こうにあるとでも?
おれがガクガク震えている間に、手持ちの三機のアルカノイドは全滅した。もはや、そのブンガクの最後を確かめる術はなくなったのである。