料理インタフェイスの話。

三角食べというのがきらいである。もちろん、集団生活の場、給食の場での限られた時間でバランスのとれた食事をするためのライフハックという意味では利に叶っているとは思う。でも三角食べを給食以外の場に適用すると料理人の想いを踏みにじるような気がする。こんなふうに食べて欲しい、といった想い。
かといって料理人に食べ方を強制されすぎるのもなんだか窮屈な気がする。決まった順で皿を供するコース料理、あるいはミスター味っ子考案の鉄串ハンバーグ。鉄串に刺した三つのハンバーグはそれぞれ合い挽きのバランスを変えてあり、鉄串は三つのハンバーグの食べる順番をアフォードする。ユーザは無意識のうちに《おいしいと感じる食べ方》をさせられる。ある種のマジシャンズ・セレクト
わるかないけど、料理人に操られてるって一度思ってしまうとなんだか窮屈に感じる。料理人に《傲慢》を感じる人もいるだろう。
もっとひかえめで、もっと高度な料理はないのか? 考え抜かれたユーザインタフェイス料理はないのか?
思うに、それは小鉢の並んだ膳や、区画が細かに分かれ豊かな彩りを誇る駅弁などのようなものかもしれない。
ふとおいしそうだなといって箸を伸ばす、こっちもおいしそうだな、こっちは甘いのかな? 塩加減がいいな。柔らかな肉と旬の野菜の歯ごたえの調和がたまらないな。1回1回の箸運びすべてが楽しさと驚きに満ちて、いつのまにか膳は空となり深い満足だけが残るような。
あくまでユーザに自由を感じさせながら、どの切り口から料理に立ち入ってもよい気分にさせるのは、コース料理や鉄串ハンバーグより高度だ。計算通りになるようシーケンシャルに供するよりも、ランダムアクセスに耐えうる料理構造。
もしかするとここにみなさんの目指すべきブログのスタイルがあるのかもしれないね。そう思わないかい? うん。そんなわきゃないよね。