北風と太陽はそもそも勝負の土俵が違いすぎる。

北風ごとき大気圏内ローカルな自然現象が一天体たる太陽に戦いを挑む「北風と太陽」さんについては、北風ちょうしにのりすぎだぜと思っていた子供時代のおれなのですけど、いやまてよ何も1対1の勝負とは明言されてない。思うに将棋の多面指しがごとく100万もの北風と戦った様子をイソップがローカライズしただけかもしれないし、そうだ何も地球表面だけじゃない。宇宙にだって北もあれば風もあるだろう。
宇宙風が言う。あそこにいるアストロノーツの服を先に脱がしたほうが勝ちだ。すべての挑戦を受ける太陽はやはりここでも風に勝利する。だがしかしアストロノーツは脱衣の果てに死ぬ。人間の死を悼む太陽。「太陽さん。あなたは悪くない。僕の死は運命だったのです」アストロノーツの言葉に涙てきなもの(フレア)があふれ出す。
太陽は勝負に勝って、己に負けたのである。