深夜の合わせ鏡は恐怖を呼び起こす。

深夜合わせ鏡をすると恐怖を呼び起こすとはよく言ったもので。
昨晩おれはふと思うところがあって、神妙な面持ちのまま薄暗い卓上灯の前に座し、洗面所から持ち出した鏡二つをそっと向かい合わせた。
一呼吸ついた後、ゆっくりまぶたをあけ合わせ鏡を覗き込むや、鏡の中に表れたそれはどうやら男の頭頂部であり、数年前までミッシリだった剛毛は見る影もなく、地肌が透けて見えるほどだった。おれは恐怖した。