ヒーローがどこの誰だか知らないけれどなのは。
ヒーローがどこの誰だか知らないけれどなのは、人々がヒーローを頼りにしてしまうことを避けるためである。助けをもとめればいつでも来てくれるんじゃないか、という弱さに人の心が流れるのを防ぐためなのである。ODAの問題にも似ている。
そしてもうひとつ。ヒーローはその無力さゆえに誰であるかを明らかにしないということもあるだろう。これはヒーロー側の逃げである。サンタクロースが一晩で世界中の子供たちにプレゼントを配れるのとは違い、ヒーローはたいてい特定地域の限られた人間しか救えない。だから民族や国籍やその他の情報を隠す必要もあるのだろう。政治力に晒されて救う命に偏りが出るのを避けるために。
などとどうでもいいことを考えながら、T. P.ぼん読んでた。主人公ぼんが、目の前で散っていくたくさんの命のなかから、ただ一つの命しか救えないことに涙するのを見て、あーあー言いながら読んでた。どうでもいい。
T・Pぼん (1) (中公文庫―コミック版 (Cふ1-5))
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1995/06/01
- メディア: 文庫
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