都庁一閃

轟音とともに、ビルが崩れる。もうもうたる土煙が周囲のビルを飲み込む中、その豪煙からふたつの影が細く煙の尾を引いて宙に飛び出す。
「センパイちょっと待ってください。自分が何斬ったかわかってます?」
「都庁でしょ?」
「そうです都庁ですっ! 都庁は斬るもんじゃありません!」
「えー、でもー、今宵のマサムネは血に飢えておるってゆうかー?」
「かわいこぶってもダメです。今、夜じゃないし」
「いいじゃん。かたいこと言うなよ」
「だいたいなんで都庁斬らなきゃいかんのです?」
「そうしろと囁くのよ。私のムラマサが」
「マサムネじゃなかったんですか?」
「どっちでもいいわよ。私はビルが斬れれば、それでいいの」
「ビルが斬れればて、タランティーノじゃあるまいし」
「! うっわ! それダジャレ? それダジャレ?」
顔が真っ赤になる。
「末代まで語り継げるわー、そのダジャレセンス」
「もーいいです! センパイはビルでも星でも斬っててください!」
「怒った? 怒った? あははは。キミって怒った顔もかわいいよねー」
どんだけ顔赤くさせりゃ気がすむんですか。センパイ。