小二のぼくらは苗字が一緒ってだけでいじめたりもりあがったりできた。

小学生のとき一度くらいは耳にするセリフに「おまえら苗字いっしょじゃん! 結婚しても苗字かわんねーんじゃん!」っていうのがあって、そういうときってだいたい「やめろよ! だれがこんなブスと!」なんていいながらケンカするのが正しいコドモのあり方だったと思うのだけれど、おれはケッコウな年になるまで同姓の女性にあったことがありませんでした。
そんで社会人になって最初の研修で同姓の女の子と同じグループになって、そしたらデリカシーのかけらもないおじいちゃん総務が「君らは結婚しても苗字がかわらないよね」なんて言っちゃったりなんかして、彼女とかちょう赤面しておれもちょう赤面してバーカバーカじいさん何言ってんだバーカバーカグッジョブバーカバーカ思いながら、そうか鈴木とか佐藤とかだと毎日赤面できていいななんてぼんやり思った。伊藤もいいな。
そんなこと思い出しながら、あのときの赤面な気持ちを仕返ししたいと思った。おれもおじいちゃん総務の真似して「君ら結婚しても苗字かわんねーじゃん」と周囲に言いまくっていきたいなって。同姓の男女見つけてはだれかれかまわず。


いまの時代、そういうデリカシーのなさも必要なんじゃない?