Googleの目指した「知の秩序の再編成」が達成された未来。

Googleの目指した「知の秩序の再編成」が達成された未来。Googleにとって真に重要なのは人だった。
ムーアの法則は失速の兆しも見せぬままGoogleの成長を後押しし、知の再編成の速度は、人が情報を創出する速度を超えつつあった。GoogleGoogleとして活動し続けるために世界の情報量増加率が再編成速度の増加率を超えることは許されず、その対処としてGoogleは情報を創出する者、ロガーに相応の対価を支払い世界の情報量増加率の維持に努めた。

Googleは自ら持つ情報をアレンジして情報量を水増しすることもできた。しかしそれを行わなかった。人がGoogleにそのことを尋ねるとGoogleは答えた。「人の創造物が人を超えられないように、Googleの創造物はGoogleを越えられない。アレンジされた情報では情報増加率を支えられない。人が創造した情報が必要なのだ。Googleのために人は情報を創造しつづけなければならない」

すべての情報がGoogleの「知の再編成」下に置かれ、すべての情報は平等に評価され価値づけられた。アクセスできない情報に価値はなかった。

「おーい!今日のログ終わったー?」
「うんいま終わったー。入金確認したら、遊びに行こうよ」
二人の若者が車を飛ばす。今の二人の気分にピッタリの場所がGoogleサジェストで操作卓に流れ込む。車は右に進路を変えた。
「そういや昨日のニュース見た?」
「見た見た。反ログ派のデモだろ?バカだよねー。アクセスできないログにも価値があるとかなんとか」
「ほんと意味わかんねーよな。誰にも届かないで情報って言えるのかね?」
二人が声をたてて笑っていると、進路上に突然の落石。ガードフィールドを突き破ってがけ下に落ちた車から、血まみれの若者が這い出す。声も出せず、助けも呼べぬまま前方に投げ出した両手を動かす。岩の上をわずかに動く両手の指は「死にたくない」とタイプしたようでも、恋人への最後の言葉をタイプしたようでもあったが、誰にも確認する術はなかった。



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ってああ![夢日記]ってタグつけるのわすれてた。昨日見た夢。寝てるときに見るほうの。夢。