サンデーのブリザードアクセルがオモシロい。

いまさらながら、ブリザードアクセルが面白い。フィギュアスケート漫画です。私見ってゆうかオレ理論で恐縮ですけど*1、この漫画の連載を順に追うと【二段階の漫画表現のステージ(段階)】があり、サンデー誌上ではいままさにその第2ステージなわけでして、これが本当に面白い。じゃあその漫画表現の二段階のステージって何なのってお話なのですけど。
第1ステージは「イメージを画で表現」つー方法で、これはタイムやレコードで計れない「表現系のスポーツ」を漫画にすると決まって使われる手法。例えばAの人の演技だと観客には龍が見えるとか、Bの人だと天国が見えるだとかそういうもので、ようはリアクション漫画の系譜ともいえる。これがブリザードアクセルの第1ステージだった。ライバルの滑る「将軍」は老人に見えて史実に忠実だが、主人公の「将軍」は若く力強いぜ、とかそうゆう。ありがちでつまらない。
そして現在。作中では学園対抗戦を行っているのだけれど、ここでは第1ステージの漫画的手法をとりながら、もう一つ、「技ごとの詳細な採点を表で書く」とゆうことをしている。これは一見地味だけれどスゴイ発明だと思う。あまりにも、あまりにも漫画的で、週間漫画的な発明。これが第2ステージ。
ようはこうゆうことです。規定のフィギュア競技では決まった技(スピンとかジャンプとか?)を盛り込まねばならず、各技の得点の積算で全体点数が決まる。作中では、雷電みたいな解説屋が「いまのスピンは3.4。評価はAだ!*2」とか言いはなって、得点が積算してゆく様子が語られ、週の最終ページにライバルとの各技の得点表を書いて次週へのヒキにする。0.5点差で逃げ切れるだとか、もう絶対追いつけないだとか、そんな状況説明を一枚の表で語る。来週までドキドキする。なんだそのわかりやすさ!なんだこの週間連載ってスキームを利用した表現方法!漫画でしかできないよ、そんなの。
でもだって、リアルのフィギュアでそんな楽しみ方できない。あのわずか数分の演技の中で先行した選手の演技構成と各技の得点配分と今滑っている選手の現状得点を瞬間的に比較し、これなら次のジャンプで3回転半すれば0.1点差で逆転できる!とかもう届かない!なんてことは絶対わからない*3。でもこの漫画はそれをやってのける。「リアルのフィギュア」では楽しめない「漫画のフィギュア」の楽しみ方を提示してる。数分の演技を3週にぶったぎって、数値で勝負の状況をはっきりさせ、見事にドラマに仕立て上げる。作者の手腕。週間漫画ならではの表現。ちょっとビックリ。
ほんともう、ミラクル・マオミキティ大好きっ子なみなさんに大変オススメです。ただ主人公がオトコノコなのが、女子フィギュアしか見ないみなさんやみなさんやおれやみなさんからしたらとても残念でしょうけれども。

ブリザードアクセル 1 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 1 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 2 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 2 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 3 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 3 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 4 (少年サンデーコミックス)

ブリザードアクセル 4 (少年サンデーコミックス)

あとおれはフィギュアの知識は皆無なので、漫画の中の技がどんだけすごいのかとか、どんだけありえないのかとかはまるっきり不明です。フィギュアファンが見たら怒る内容なのかも。テニプリばりに。

*1:オレ理論 参考:http://originaltheory.g.hatena.ne.jp/

*2:たしかそんな感じ。うろおぼえけど

*3:フィギュア経験者ならわかるのかしら?