おれとポキール。

おれが小中通してどうしても慣れることが出来なかったものにポキールがありまして、まず第一にあのパリペリ感が慣れなかった。指と尻に感じるパリペリしたフィルムの感触が、こう何かおぞましい、なんらかの非日常に今現在身を投じているのだという感覚に陥らせる。さらに糊部分をしっかり押し付けているときに発せられるあのパリペリした音。あの音がこころのざわざわをより際立たせる。ざわ。ざわわ。そして。そして何よりもおれを不安にさせたのは、コトを終えたあとのフィルムにマジで何かついているんじゃないか、そしてそれは今後のおれの人生を左右してしまうほどの何かなんじゃないか、最悪卵じゃない、成体がその姿を現すんじゃないか?そんなオソロシイ不安にあったんだと思う。
そんな不安を心に抱きながらおれはポキールのフィルムをとっくりとながめ、そして何もないことを見て深く安堵し、フィルムに印刷されたターゲット状の3重丸をズレないように慎重に重ねて提出袋に入れる。バイバイ、ポキール。できればおまえとの付き合いはこれを最後にしたいものだな。提出袋の入ったランドセルにそっとつぶやく。
そうやってすごした少年時代に何か関係があるんじゃないのかな?
鼻をかんだあとのティッシュを確認すると、ただそれだけで安堵してしまえることは。