自由

「君たちは自らに制約を課し、その力を発揮せずにいるんだ」
森の梟がボクらに話しかける。
「その腕を見たまえ。君たちのモデルとなった生物たちは、確かに腕が180度回るなんていうことはない。だが君たちは無限にまわすことができる」
ボクのとなりに座る友達が足をグルグルと回した。180度、360度、720度。グルグル、グルグル。四足獣を模して創られた彼は目を見開き喜びにわななきながらボクを見つめている。
「君たちのモデルとなった生物の制約に囚われるな。君らは君らだ。君ら自身の体にできることを知り、そして自分自身を見つけるんだ。さあ。」
ボクらの目の前にかかっていたもやは晴れた。縞模様の友達はボクのとなりでむちゃくちゃにその腕を、足を、首を回しながら、悦びのおたけびをあげている。四足獣の友達も一緒に走り出す。ボクも続く。両手をあらん限りの力で、繰り出せるすべての方向に振り回す。足は肩の横をすり抜けたかとおもうと次の瞬間地面を掴み、そしてまた肩の横をすりぬけ、ありえないほどの速度でボクの体を運ぶ。内から湧き上がるこの感情は何?悦び?これがボク?これが自由?
グシャリ。
振り下ろされたボクの右手の下に、クリストファー・ロビンのつぶれた頭蓋があった。