おれが映画版ジャイアンをゆるした日

映画版ジャイアンとTV版ジャイアンのMT(movie,TV)分離の法則、つまり『ワルがときたまいいことするとちょっといいよねってゆう【ワルのモテ構造】を強化する、そのためだけに毎週TVでテッテテキにワルっといて年イチの映画でバボーンといいひとっぷりをアッピールするの法則』のそのあざとさにおれはヘキエキしていたのだけれど、こんどのジャイアンを演じるかれが14歳とか聞いてしまうと話は別です。だってTV版ジャイアンを、未だ成長途上にある14歳のかれが演じたなら自分をジャイアンと自己同一化させてジャイアニズムに染まってしまうだろうことは火をみるよりアキラカで、だから、かれの健全な成長を促すために、そのガス抜きとしてかれには映画版ジャイアンを演じさせるしかない。ジャイアニズムに染まりかけたかれの心を年に一回溶かしてやらなきゃならない。そうだ。ジャイアンのために映画版ジャイアンがあるのではなく、声優のかれのために映画版ジャイアンはその存在がゆるされるんだ、25年の歳月を経てようやくして映画版ジャイアンはそこにいてもいいという理由を、レゾンデートルを得ることができたんだ。そう自分に言い聞かせることでおれは自分の中に巣食う映画版ジャイアンのあざとさへの憎悪に決着をつけることができたんだ。この一点において。この一点においてのみ今回の声優キャスティングはよかったと思う。このキャスティングで救われた男がひとり、ここにいるよという意味において。
あと源しずか役のかかずゆみさんがどういった経歴のかたかわかりませんが、しずかちゃんの「キャーエッチ」をそれなりのエロスで演じられる方であることだけが望みです。あんまりにもあんまりな色も艶も胸もない乾いた演技だったりしたならば、源家のバスルームにハーバルエッセンスを置いてきてさしあげます。色気増強剤とばかりに。アオゥス、イエゥス。