はてなダイアラードラマ百選

いとしの未来ちゃん」(1997年4〜6月 土曜23:30放送 テレビ朝日系列)

これははるか未来に語られるちょっと未来の物語。

【STAFF】
脚本・演出−片岡K
撮影−佐々木秀夫
主題歌−ガーデンズ「Future's Memories」
【CAST】
共通キャスト
少女 :橋本真実
妹 :稲葉彩夏
ナレーション :大場真人

#他、詳しい情報はキーワード「いとしの未来ちゃん」参考くださいな。

西暦2100年、つまり今から100年以上も先の未来。そこには空飛ぶ自動車もタイムマシンもない。
未来の私たちは現代よりもずっと古めかしく質素なくらしをおくっていたのである。
100年ものあいだ人類はいったい何をしてきたのだろう。
技術の革新は止まってしまったのか。新たな発明や発見を放棄してしまったのか。
その秘密は2100年にすむこの少女たちが知っている。
これははるか未来に語られるちょっと未来の物語。









このドラマ、いわゆる一話完結のSFコメディです。舞台は2100年。我々から見た未来、今から数年後〜数十年後の未来を彩るはずの技術、例えばアンドロイド、バーチャルリアリティ、超高層建築、電子マネーに多チャンネルにクローンなどなどの技術が2100年には失われている。これはいったいなぜなのか?少女(橋本真実)が妹(稲葉彩夏)に枕元で昔話を読んで聞かせる形でドラマは始まります。

ああ、これじゃわけわっかんないですね?そうだな。例えば「第4話 眺めのいい部屋/A Room with View」のお話をしましょう。時は2020年、300階立てマンションの最上階に引っ越してきた一家(加藤あい他)はお腹がすいたので出前を頼むことにする。30分を超えたら無料、1時間を越えたら永久無料サービスのピザ屋へピザとコーラの出前。
店員・富田靖子はピザを届けにエレベータに乗り込む。エレベータが密室劇/オムニバス(乗り合いバス)*1の舞台となり、そして、富田靖子はエレベータに乗り降りする住人に振り回されまくる。わちゃくちゃになりながらも最上階300階を目指す店員(富田靖子)。到着直前、配達バッグの中の缶コーラが破裂。エレベーターガール曰く「気圧の関係で」。って、どんだけ高いんだよ、そのビル。
ギリギリ時間内に到着した店員(富田靖子)。玄関に出てきた娘(加藤あい)にピザを手渡すも「あれ?コーラは?すぐ持ってきてくださいね。時・間・内・に!」。グッタリした店員(富田靖子)が下りのエレベータに乗り込むと、またもや住人達に振り回され、最後にはとうとうキレて腹に巻いた爆弾でビルを爆破してしまう。「こんなビルなくなっちまえっっっ!!!!111」。
超高層建築が乱立した時代、こういった事件が頻発したため2100年には超高層建築はなくなってしまったのよ(少女:橋本真実)。ってバカ。愛すべきバカコメディ。こうゆうバカが好きです。大好きなんです。




ストーリーのバカさだけじゃなくそれを彩る他のドラマ要素もイイ。深夜枠とは思えない豪華なキャスト。NOKKOx鈴木一真ベンガルx袴田吉彦x細川ふみえ小嶺麗奈x渡辺いっけい田口トモロヲx小沢真珠松下由樹x嶋田久作、なんだか今見ても錚々たるメンバー。
サブタイトル。このドラマ、サブタイトルが有名な映画の名前ばかりなのですけど*2、名は体をあらわしちゃってて、例えば「第1話 時計じかけのオレンジ」はオレンジという名のアンドロイド(NOKKO)が出てくるし、「第5話 太陽がいっぱい」は陽子(小嶺麗奈)のクローンをたくさん作っちゃう話だし、え?それ、ただのダジャレじゃん?ってゆう下らなさ。
BGM。コレもコダワリで、それらの映画のサントラだけからBGMを使ってます。これが違和感なくハマってて余計笑ってしまう。
美術。チープでレトロフューチャなSF小道具、ミッドセンチュリーモダン系の家具や原色に彩られた衣装などなどが「少女が昔話として読み語る未来」という過去であり未来である非在の空間の画面作りにうまくマッチしてる。と同時にオサレな画面作りにも成功してるとゆう。
共通キャストであるオナペッツとカワイ麻弓の存在がこれまたSF/ファンタジーを強調していて、しかもこれがイヤミにならずに上手く機能してる。なんとゆうか「過剰な演出・突飛な物語展開」と「ファンタジーじゃない主力役者陣」とを一つの画の中に結び付けるための接着剤・安定剤のような役目を果たしてると思う。不思議。
これらすべての要素が演出家片岡Kのバランス感覚で纏められ、そして面白い映像を作り出しているのだと思う。

もうちょっと踏み込む。私がこのドラマを好きな理由。それは多分、このドラマが私の好きなタイプのSFだから。
SFって概ね「ここではない場所」を描きます。「ここではない場所」の中でも最も身近なもの、ほとんどすべての人に望むと望まざるとに関わらずに訪れる、そんな身近さを持っている「ここではない場所」、それが「近未来」なんです。その身近さが物語に、あるカンカクを付与します。夢にあふれた近未来が描かれていれば明日のことのようにウキウキするし、暗い近未来であればそうならないように努力したいと思う、そんなカンカクです。「遠未来SF」や「歴史IFモノSF」、「異世界SF」などではちょっと得ることが難しいカンカクだと思います。私、こういった「ウキウキ感/警鐘感」を感じることのできる「近未来SF」が好きだから、だから「いとしの未来ちゃん」が好きなのかもしれません。

 * * *

さて、次のバトンは、はてなの「でもやるんだよ」こと、id:TheManさんに投げっぱなします。はてな新ムーブメントへの彼の行動力はまさにはてな愛。さらに、お笑い愛、仮面ライダー愛、安倍なつみ愛、そんな愛に満ちた彼が一体どんなドラマを選ぶのか?楽しみー。んじゃ、TheManさん、よろすこー。

 * * *

次点。17才、聖龍伝説、FIVE、マイコン大作戦あばれはっちゃく(2代目?)、3番テーブルの客、BLACKOUT。とくに17才は悩んだのですけど、内容をまるっきり覚えていないのであきらめたとゆう(笑)。

*1:それともこうゆう出入りのある形式ってグランドホテル形式とかゆうのですか?よくわかってないのですけど

*2:サブタイトル一覧はキーワード「いとしの未来ちゃん」参照です。