「で」ゲームの話。

「で」ゲームというのがあるのだけど、簡単に言うと想像力のゲームなわけだ。
ルールは簡単で、男性数名で集い「女性名+で」を言いあっていくというもので、発言後各メンバーがいろいろ想像した上でダメだと思ったら自己申告によって勝敗が決する。例えばじゃあ、
宮崎あおいで」
「ちょうオッケー!」
長澤まさみで」
もちろん!」
夏帆で」
「いま旬でしょ!」
みたいな進行になるわけです。
ゲームも佳境になってくると、「ハリセンボンはるかで」とか「伊調馨で」てき展開になるのは目に見えていて、このあたりから想像力の質が問われ始める。想像力には単独想像と複合想像があるのだけれども、勝負の分かれ目は複合想像の能力があるかどうかで決まってくる。その女性単独で「で」を想像するのでは想像の幅が狭く「で」で想像する内容がむしろマイナス想像になるのだ。「ダメだ」となってしまう。ゲームに勝利するには、その女性と別の何かを組み合わせた「で」を想像できるかどうか、が鍵なのである。
例えば
「xxは今は冴えない芸人だけれども、実はさる王国の令嬢で命を狙われており顔を隠さなければならない。ハリウッドメイクで偽装した彼女は行方知れずの弟を探すためにメディアに露出することを決意するのだけれど、唯一弟だけがわかる特徴が神経の死んだ前歯。無理に歯を見せる演技はテレビ越しに弟に見つけてもらうためなのだ。撮影を終えて今日も一日疲れたな、と相方と別れハイアットのスイートに戻る彼女。メイクをはずし絶世の美貌をさらす。従業員のおれは偶然、その場を目撃してしまい裸の彼女が胸を押さえたまま振り返り、秘密ダマっててくれる? と言うのだけれども、ドキドキしたまま曖昧な顔をしていると唇を重ねられ、ほらねこれで口封じできた(はあと) いたずらっぽく笑う彼女」
「で!」
みたいな想像のことである。想像力の複合技である。
この複合想像の能力を獲得すれば、ゲーム終盤の「瀬戸内寂聴で」や「ライス国務長官で」といった勝負展開になっても、みなさん勝利できるだろう。
先生からのアドバイスはこれで以上だが、ここにいる諸君はどうか忘れないで欲しい。今日紹介した複合想像力のこと、そして人間の想像力は無限だということ、を。