無断リンクにあふれた未来を考えてみる。
WWWの発展を願う個々人が無断リンクに勤しみ、リファを、トラバを、ブクマを打ちつづけた現在。そこから数年後の遠からぬ未来。
文章の一挙手一投足一鼓動毎に内容関連リンクとヘルプリンク、商品アフィリエイトリンクと機械的リコメンド記事リンクが無数多重に張られるWWW世界。
まさに。
みなが望んだネットワークの完成形がそこにはあった。
読者がモニタ上で目にするハイパーテキストは、その背後で数万倍・数十万倍のテキスト群とつながっている。読者はWWWに触れるごとにその事実を肌で感じ、自分が相対するモノの巨大さに目がくらみ、ウィンドウを閉じる。
人が一生に読みつくせるテキストなんて限りがある。WWWはその事実を“常に”思い起こさせてしまうのだった。
人々の間でWWW離れが始まる。
ヘイト・ハイパーテキスト時代の幕開けである。
ハイパーテキスト嫌いになった読者らはアンダーグラウンドに潜り、説明不足で舌足らずで想像力と誤読の余地を残したデッドテキストを探し求めた。ほどなくして、打ち捨てられたWEBサービスのレトロサーバ群からそれらは見つかり、誰知らずこう呼ばれるようになる。
「無断リンク絶対禁止領域」
WWW世界にめまいを覚えた読者がたどり着く楽園がそこにはあった。読者に救いの糸を垂らすのは蜘蛛ではないのだった。