中二のころ流行った超空間接続妄想

中二のころのおれの中で流行った妄想といえば超空間接続妄想なのだけれども、これはようはどこでもドアで妄想するということである。実際にはドアというよりも、こう、5cm角くらいの平面がいきなり宙に浮かんでいて、それがどこか遠くとつながっているようなイメージで、しかも中二男子が妄想する《遠いどこか》といえば女性のおっぱいか股間と相場が決まっているのである。
ある日おれがテレビを見ながらぼんやりしていると、目の前に白い超空間平面が現れる。おそるおそる指を伸ばし、その白い超空間平面をつつく。「はふん!」
え? この声ってもしやと思ってテレビを見ると、滝川クリステルが頬を染めているのである。ピンと来たおれは超空間平面の白い布をつまんでよけ、いろいろはじめてしまうのである。
肩を震わせ時折うつむきながらなおも番組を続けようとする滝川クリステルに、松本方哉が問いかける。

「滝川さんどうしたんですか? 放送中ですよ?」
「た、たしかに包装中ですっ」

よけいなお世話である。中二男子はみんなしっかり包装されてるもんである。

「つ、次は郵政民営きゃっ」
「滝川さん! 生放送、生放送!!」

あるいみ生放送である。

「ニューヨークダウは上がっっったっっりっっ」
「上がったり?」

ぐいっ

「下がっ……た……り……」
「下がったり??」

くいくいっ

「微妙な値動きを……」
「微妙なんですか?」

ぐぐぐっっ

「あっ。急激な上げ幅がっっっ!」
「これはいったい?」
「おそらく微妙な蠕動運動のあとに、急激な上昇が見込まれているということですな」
「なるほど。以上箕輪解説員でした」

そうこうしてるうちにニュースJAPANも終了し、一仕事終えた感のおれが超空間平面からその身を引き抜こうとしていたところ、テレビから「すーぽると!」の声。
次の瞬間、下腹部に違和感を感じる。
まさかと思いブラウン管を覗き込むおれ。
すると今度は平井理央アナが頬を染めて「はふん!」と。