スネオヘアーもんだい

昔、スネ夫の髪型の三面図が提示されたことがあって、それが上面図でも山みっつ、側面図でも山みっつというものだった。
それをしったおれたちは仕方なくスネ夫の頭は山9つからなる肉叩き器のような形状をしていると結論づけたのだけれど、なんだか釈然としない想いだけが残ったのだった。
もっとこうエレガントな解法はないのか?
あのΣ形状の根元はポリキャップとか球体関節みたいになっていて常にカメラに向けて向きを変えるだとか。
あるいは例のペーパークラフトのこっちみんなドラゴン*1のように突起ではなくへこんでいる部位があってそれでどこから見ても山みっつに見えてしまうといったような。
それとも……



いずれにせよ、おれがその真の理由を知る日は来ないのかもしれない。未来永劫。



いや……そうか、わかった。つきだ。
真の理由を明かさないのは、スネ夫が月だからなんだ。

月は、常にその一面しか我々に見せない。そしてそのことがあの向こう側には何があるのか。月の裏側には何があるのかと、おれたちの想像力をかきたてた。
月の向こう側を知りたいという気持ちが人を月に向かわせたのだ。
同じように、スネ夫の髪もまたおれたちの興味を惹きつけつづけるためにどこから見ても山みっつなのだ。そうありつづけるのだ。
そしてその理由は永遠に謎であり、ふしぎでありつづけるのだ。


SF。S(スネ夫)はF(ふしぎ)。


長寿アニメドラえもんの人気の秘密はこれだったのである。





類)菊地真の後頭部ヘアーもんだい

*1:ドラゴンイリュージョン