萌理賞非参加作品「集え生徒会!1年B組神藤雅」

977文字なので応募見送り。400字におさまる文章ができたら改めて応募します。あと、もうちょっとお題を遵守しないとダメだ、おれは。

第十一回萌理賞
「今回のお題は「学園の(七)不思議」です。」
http://q.hatena.ne.jp/1179911611

『集え生徒会! 1年B組 神藤雅』



「いいかげんにしてください! なんで私が書道部やめて、生徒会なんかに!」
「いつまでもそういう態度だと、こちらにも考えがあるんだがね? 神藤雅クン?」
生徒会長、菟剣司朗は何かを払うように右手を薙いだ。と、背後に立つ女生徒が彼の手首をつかみ、それを制する。
「いけません会長。力のほうは……」
「……そうだったな。しかし……」
「……私の方から説明します。同じ、ですから……」
そういって彼女は一歩踏み出し、私の前にたつ。背の中ほどまでのびた艶のある黒髪と切りそろえた前髪。墨を流したような漆黒の瞳は何もかも吸い込みそうな……
「私は3年の七条依子。神藤さん、あなた、このところの怪談話知ってるでしょう?」
「夜中に変な化物を見たっていうアレですか? ばかばかしい」
「残念ながら冗談ではないの。そしてアレはあなたが引き起こしているのよ?」
依子さんがポケットから折りたたまれた半切をとりだし、ひろげはじめた。《魑魅魍魎》。
「それ、私の……」
「そうあなたが部室で書いたもの。……あなた。言霊って知ってる?」
「言葉には力が宿るっていう?」
「一般的にはそうね。でもちょっと違う。言葉が何かをするわけじゃない。言葉を理解する何かが力を行使するの」
「その何かが私の書を見て、化物を……魑魅魍魎を呼んだ?」
「そう。……言霊の本質はね、平行空間中に遍在するナノマシンが《執行者》の言葉を命令コードとして実行する、ということなの」
平行空間? ナノマシン? わけがわからない。
「そのナノマシンを誰が残したのかは知らないわ。神様かもしれない。問題はナノマシンの能力は《執行者》の権限に左右されること。そしてあなたの権限がSクラスだということ」
「……Sクラス?」
「私があなたに力の制御法を教えるわ。それまで書道を禁止してほしいの」
依子さんがすっと近寄り、私の髪をひと房とって耳元で囁く。
「(その力、学園と私のためだけに使いなさい)」
首筋に息がかかる。顔が火照るのを感じながら、私は聞いた。
「……先輩、あなた、いったい何者なんですか?」
「あなたと同じ《執行者》よ。くやしいけれど、私はAクラス。生徒会では、書記を務めてるの」
会長のほうへ戻る依子さんが、振り返りながら微笑む。
「大丈夫。Sクラスのあなたならいい書記になれるわ。歴代最高の書記に」