一日中、前方後円墳のことを考えていた。

中学生が一度はむずがゆい思いをする知識の一つに前方後円墳があると思うのだけれど、いやだってどう考えても円が前だろ? 常識的に考えて。なのに四角が前で円が後ろ。社会の先生につめよっていったいどういうことかと説明を求めても、昔の人が決めたことだから的な回答でお茶を濁されまくったものだった。気になって夜も眠れなかった。四六時中、前方後円墳のこと考えてた。どっちが前でどっちが後ろなんだって。どっちなんだよ。
そんなとき、ふと昔の偉い人の言葉が思い浮かんだ。逆。逆なんだ。
そう。
前とか後ろとかこだわりすぎて、前方後円墳のこと嫌いになったら本末転倒だよ。逆に考えるんだ。「前でも後ろでもいいや」と考えるんだ。
……。
ようやく心に平静を取り戻したおれは、くだらない前後問題のことはすっぱりわすれて、前方後円墳のことを攻め立てたのだった。前から後ろから。