「右舷! 斬幕うすいぞっ!」

「右舷! 斬幕うすいぞっ!」
師範の声に反応し、門下生らが一足で翼屋根に移動し抜刀する。屋敷上空を舞う黒衣の武士たち。飛天流の大群が雨あられと斬撃を降らせていた。飛天流は空を自在に駆る流派である。飛太刀と呼ばれるその剣技は、逆手に構えた小太刀で斬撃を放ち宙を奔り、主太刀で襲い掛かる。
対する無限一刀流は一太刀にすべてをかけ、振るう。一太刀は「ひとたち」にかかり、一刀流は町民を護る剣としてみなから愛されていた。



「迎撃構えろ」
師範の命を受け、剣士らが居並ぶ。
一刀流。二十重に斬撃撃ち放たるは、阿羅漢をも破乱くす」
朗々ひびく技名乗りにあわせ、分厚い斬幕が空を駆け上る。時雨れる斬撃が打ち払われ、流れ太刀が肩を掠めた武士らが蚊蜻蛉のごとく舞い落ちる。



なおこの史実が近接防御システム(CIWS) 20mmバルカンファランクスの元となったというまことしやかなうわさがあるが、当方未確認である。