手紙

「まただ」
私は郵便受けを開け、一通の封筒を取り出す。どうせ中身はマンション建設反対、日照権侵害云々という手紙だろう。同じ封筒、同じ筆跡でここ一週間ずっと届いている。しかも差出人不明ときたもんだ。
ふん。周囲の住民にはすでに金は握らせてある。どこの誰だか知らないが下らんいたずらだ。
そのままダストボックスに捨てようとしたところで、封筒の端が不自然に千切れているのに気付いた。千切れている? いやむしろ元から封筒の形に成りきれていないような……
気になった私は手紙を読むことにした。

大家様

どうかマンションを建てないでください。
日照権を侵害しないでください。
これが最後のお願いです。
僕らにはもう、お手紙を差し上げる手段がありません。

お願いします。

最後? なんだか知らんが内容はこれまでの手紙と同じだな。私は手紙を破り捨て部屋に戻った。
数日後マンション予定地に行くと、裏手にあったはずの林がなくなっていた。