僕の人生の可能性の物語
- ファック文芸部キーワード:g:neo:keyword:行時一致
- 記述方式と作中の時系列がシンクロする。
- 経過期間は任意で構わない。 (一秒、一分、一時間、一日、一週間、一月、一年など)
- 時系列の方向は順でも逆でも構わない。
- 本ルール:数値は年齢を表す。
12866 | 第2次知性体大戦がおこり、世界は滅んだ。 | 2.757 | 僕は夢を見ていた。 |
536 | 父は待ちつづけた。 | 2.75 | 僕は寝返りをうった。 |
254 | 黄昏の浜辺で父は待ちつづけた。 | 2.73 | 僕は眠り続けた。 |
122 | 父は本体を保持しつつも自己改変しながら、僕の帰りを待ち続けた。 | 2.71 | 僕は眠り続けた。 |
78 | パパは全財産を投げ打ち、自身をネットワークにダウンロードした。 | 2.65 | 僕は眠り続けた。 |
46 | パパは仕事に成功し、再婚した。 | 2.6 | 僕は眠り続けた。 |
41 | パパはがむしゃらに仕事をした。 | 2.5 | 僕はただ眠り続けた。 |
38.3 | パパは空を登る光点を見つめ続けた。 | 2.3 | パパのもとを離れることに気付くことなく僕は眠り続けた。 |
38 | パパは僕を《次世代乳幼児》に登録した。 | ||
37 | ママが男と逃げた。パパは僕のために会社をやめた。 | ||
36 | パパとママが出会い、僕が生まれた。 | ||
33 | 世論は捨て子という言葉を抹消し、彼らを《次世代乳幼児》……ポストチルドレンと呼ぶことにした。 | ||
30 | 赤ちゃんポスト法が見直された。子を捨てた事実を親が実感しなくて済むよう、また子の可能性の芽を摘むことなく、問題解決を未来へ先延ばしにするよう、ポストは亜高速船で宇宙へ打ち上げられることになった。捨て子の時間はそこで止まることになった。 | ||
29 | 「人命は星よりも重いが、子捨ての記憶は親の人生に影響を与えすぎる」首相は公式に声明を発表した。 |
ブロックくずし小説
というわけで先の記事で「行時一致」作品を書いて分かったのはオリジナルの壁(閉鎖された都市の歴史(g:neo:id:llpp))は圧倒的に高いということでした。ルールを思いつく才能には叶わない。おれもルールを考えたい。
そんで行時一致の楽しいところは、《作品の読み方・時間》を作者がコントロールできそうなところだと思うのですけど、じゃあ読者も作者も読み方のコントロールを放棄するブンガクがあってもいいじゃんと思った。
イメージ的には脱衣ブロックくずしのパクリで、ブロックの背景のエロ画像の代わりに、ブンガクが隠れているわけです。
そこでは作者の持つすべての読ませるテクニックが崩壊する危険があり、例えばブロック壁の背後に玉が流れて壁をくずしまくるとオチがバラされてしまったり、歯抜けでくずれていくと伏線も余韻もへったくれもなくなってしまったり、なんとか読み取れる飛び飛びの文章から物語を脳内補完するも、その物語はあまりにも拙いものになってしまう。読者の運と想像力にゲタを預けまくるブンガク。なんともリスキーな。てか、それ読んで面白いのか?
そうしておれは玉を打ち出し、彼の新作をくずし始める。いつもどおり期待せずに、くずし読んでいると一分ほどして驚愕する。くずした部分を順に読んでいるだけなのに、文章が破綻していない! おれがどの順番でブロックを崩すかわかっていたというのか? それとも、どう崩しても文章が成立する神のブンガクがこの壁の向こうにあるとでも?
おれがガクガク震えている間に、手持ちの三機のアルカノイドは全滅した。もはや、そのブンガクの最後を確かめる術はなくなったのである。